パラダイス、虹を見て。
 それから一週間は何事もなく、過ぎていった。
 サクラが来なくなったのは、いきなりだった。
 誰よりも早く畑に来ているサクラの姿がなかった。
 (しばら)く待っても来なかった。
「サクラ、どうしちゃったんですかねえ」
 アラレさんに訊くと。
「あとで、様子見てくれば?」
 と真顔で返された。

 もしかしたら。
 畑仕事に飽きたんだろうかと思った。

 秘密の館で働く、お手伝いの少年たちに訊くと。
 朝からサクラの姿は見ていないらしい。
 朝食も昼食も食堂に現れなかったそうなので。
 軽食を作ってもらって、サクラの部屋を訪ねる。

 トントンッ。
 軽くノックする。
「サクラちゃん、入るよ」
 返事を待つ暇もなく、ドアを開けると。
 ベッドの上で、ちょこんとサクラは座っていた。

 あれ?
 すぐに気づいたのは、目の前にいるのは。
 サクラだけど、サクラじゃないってことだ。
 髪の毛が短くなっている。
 身体つきもゴツゴツして雰囲気が違う。
「サクラちゃん、髪切ったの?」
 テーブルの上に軽食のサンドイッチを置く。
 サクラは脅えたようにこっちを見る。
「もしかして、具合悪い? 無理しなくていいからね。ゆっくり寝てていいからね」
 はっきりとサクラと目が合う。
 やっぱり、いつものサクラと違う。
 うまくは説明できないけど。
 可憐なサクラは、どっちかと言うと少年ぽい顔立ちになっている。

「…カスミさん」
 小さな声で、サクラが言う。
 その声が、声変わりした男性の声だったので、「へっ」と驚く。
「私のこと、どう思ってますか?」
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