花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
少し困ったように視線を下げる先生。それだけで、この先にいい話が待っていないことは容易に想像がついた。
「華香ちゃんなんだけどね、」
話を聞いて、よく冷静でいられたなと思う。
俺が泣いて取り乱していた日より少し前くらいから体調が悪化していたこと。それに伴って外出ができなくなったこと。今は入院して治療を行っているということ。
「ほんとは誰にも言わないようにって華香ちゃんに言われたんだけど、宗谷くんには言っておかないとと思って。宗谷くんなら誰彼構わず口外するなんてことはしないだろうし、それに、」
華香ちゃんと、特別仲が良かったようだから。
指が震える。足はだんだんと熱を失って、真夏だというのに凍えそうなほど冷たくなってしまっていた。
西さんが、入院?
調子が悪かったのなんて、何も知らなかった。
何も言ってくれなかった。
あの日だって、
「宗谷くん、そんな思いつめたような顔しないで。顔見れるかはわからないけど、今から一緒に病院行くことはできるけど……どうする?」
どうするって、どうすればいいんだ?
彼女を前にして俺は冷静でいられるのだろうか。またこの前みたいに泣き出すなんてことがあったら西さんにも迷惑がかかるし……
「宗谷くんは、どうしたい?」