花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く

 この間も似たようなセリフを聞いた気がする。

 定まらない視線が、その言葉を聞いた瞬間固定された。

 どうするべきかじゃなくて、どうしたいか。


 「俺、行きたいです。西さんに……会いたいです」

 「わかりました。じゃあ裏の駐車場に車を置いてるので、荷物をまとめて来てください」


 待ってますから、ゆっくりでいいですよ、と先生が教室から出ていく。

 ゆっくりなんてしていられない。

 机の上に散らばっていた筆記用具とプリントを急いでまとめて、カバンの中に詰め込む。

 下駄箱までの道のりがすごく長く感じられて、肝心な時に素早く動いてくれない自分の脚をもどかしく思った。
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