カラフル☆デイズ
空を見上げると、ポツリポツリと水滴が落ちてきて――。
「まひる、雨降ってきたから走るぞ」
深月先輩が、私に声を掛けると同時に駆け出した。
私たちの周囲の人も、鞄を頭に当てたりして足早に移動している。
私は慌てて深月先輩を追い掛けると、どさくさ紛れに深月先輩に向かって手を伸ばした。
大きな手を掴むと、深月先輩は驚いた様に私を振り返り、だけど何も言わずに、その手をしっかりと握り返してくれた。
自分の手に深月先輩の手の温もりと、握り返してくれる手の力強さが伝わってくる。
振り解かれなかったことにホッとして、次に手を繋げたことがたまらなく嬉しくなって、息が切れて苦しいのも構わずに、先輩に手を引かれるまま一緒に走り続けた。
駅のホームに着いた時には、髪や服は濡れてしまっていて、肌に張り付く服の濡れた感触が気持ち悪かったけれど、それでも私は深月先輩と手を繋げたことで、突然降り出した雨に感謝したい気持ちだった。