カラフル☆デイズ
「大体、アイツのどこがそんなに良いんだよ?朝陽じゃないけど、もっとまひるに相応しいヤツは、他にいるだろ……」
きっといるのかもしれない、セイ兄やあさ兄にも反対されない人が。
だけど、深月先輩は言ってくれた。
「……私の作ったたまごサンドを食べて、言ってくれたの。『今日のは旨い』って」
深月先輩のことを好きだと自覚したのは、屋上で告白したあの日だけど、好きになったのは、もっと前――。
名前を呼ばれた時。カフェオレを譲ってくれた時。もっと遡って、習字道具を貸してくれた時。
深月先輩を好きになった瞬間を思い出そうとすれば、これらのどれもがそうだと思える。
でも、きっと、本当はあの瞬間。
それまでは、まだ恋になる手前だった私の気持ちが、『今日のは旨い』って、あのたった一言で、私は恋に落ちたんだ。