昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 背は私ぐらい。猫目で髪は肩まであって癖っ毛なのかフワッとしている。深々と頭を下げて私たちを出迎えるその女性を見て、思わずピンと背筋を伸ばした。
「お帰りなさいませ」
「凛、彼女は伊織の妹の弥生だ。弥生、彼女の着替えを頼むよ」
 弥生さんを紹介して、彼は私を彼女に預けた。
「かしこまりました。こちらです」
 弥生さんについて正面にある螺旋階段を上り、二階の突き当たりの部屋に入ると、突然彼女が私を壁にドンと押しつけた。
「ちょっと! あなた鷹政さまのなに? あの方が女性をここに連れてくるなんて初めてなのよ!」
 彼女の豹変ぶりに呆気に取られる。
「え? 元同僚? いや、うちの会社に潜入してたから違うか。お弁当を一緒に食べる場合はなんて言うんでしょうか? と言っても過去形ですけど」
「はあ? なんで私に聞くのよ。訳がわからないわ。恋人じゃないの?」
 突拍子もないことを言われ、思わず素っ頓狂な声をあげる。
「こ、こ、恋人!? そ、そんな滅相もありません」
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