昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「まあまあ、お父さまもいろいろ悩んでいるんだと思うの。そのうち目が覚めるわよ」
 最近、父と弟は喧嘩ばかりしている。
 父は直史が大学を卒業して働くことに猛反対し、弟は弟で父のギャンブル癖を非難しているからだ。
「凛姉さんは優しすぎるよ。今の生活は姉さんに負担がかかりすぎてる。会社勤めをして、家でも家事をして……。父上はそれなのにいつも凛姉さんをないがしろにして、なにもわかっていない」
眉間にシワを寄せて怒りを露わにする弟に明るく微笑んだ。
「私は苦には思っていないわ。家族で支え合うのは当然よ」
「凛姉さんはよくても僕は許せない。父上はもっと現実を見るべきだし、凛姉さんに感謝すべきだ」
 弟は私が父によく思われていないのを知ってて怒ってくれている。
「直史、人ってそんな簡単には変われないの」
 直史の手に自分の手を重ね諦め顔でそう告げたら、姉が私たちを見てニコニコ顔で言った。
「ふたりともご飯は楽しく食べないと」
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