昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「じゃあ、ごゆっくり。着替えは後で持ってくるから」
 弥生さんは私に声をかけて浴室を出ていく。
 脱衣所で服を脱いで浴場に行くと、今日は蝋燭が灯されていた。
 なんだか心が落ち着く。
 洗い場で身体を流して湯船に浸かったら、湯加減はちょうどよかった。
「あー、檜の匂いがしていい気持ち」
 湯船のふちに顎と両腕を乗せ、目を閉じる。
 一番風呂に入るのも贅沢。
 ゆっくり浸かっていたら、ガラガラッと浴場の扉が開いて誰かが入ってきた。
その姿を見て目を丸くする私。
た、た、鷹政さん!?
 彼は腰にタオルを巻いていて洗い場で身体を洗い出す。
 蝋燭の明かりだけで、湯船はよく見えないのか、鷹政さんの方はまだ私に気付いていない。
 どうしよう。声をかけるタイミングを逃してしまった。
 心臓はドキドキ。
 手で目を隠してなるべく彼の裸を見ないようにするも、好奇心が勝って指の隙間からチラチラ見てしまう。

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