昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 身内と言っても右京さんの話では青山財閥の関連企業の社長さんとかが来ているらしい。それに伊織さんも今日の招待客は千人くらいと言っていた。
 身内で千人って数字がおかしくないですか。
「それができれば苦労はしません。鷹政さんに恥をかかせてしまったらどうしよう」
 頭を抱える私を見て、彼は穏やかに微笑む。
「俺のことは気にしなくていい。凛はただ笑っていればいいんだ。そのドレスもよく似合ってる」
 今着ているピンクのドレスは彼のアスコットタイと色を合わせたもので、仕立て屋を呼んで作ってもらった。
 膝丈のミニドレスは海外の社交界で流行りのスタイルらしいが、こんなに足を見せる服は初めてで戸惑ってしまう。
「このドレス、短くないですか? もう顔が引きつって笑えません」
 泣き言を言うと、鷹政さんは私の頬に優しく触れた。
「本当によく似合ってる。凛がそんなにパーティに出たくないなら、この部屋にこもって愛し合ってもいいが」
 妖しげに光る彼の目を見て、ゾクッとする。
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