昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 カチカチになっている私の手を鷹政さんが掴んで、部屋から数十メートル離れた大広間に向かう。
 シャンデリアが煌々と輝き、ヨーロッパの宮殿のように豪華絢爛。
 慣れない高いヒールの靴で「キャッ」と転けそうになると、すかさず鷹政さんが支えてくれた。
「大丈夫か?」
「はい。すみません」
 やっぱり私が来る場所ではないと瞬時に思うが、私の愛した人は青山財閥の総帥。
 うん。わかってる。彼と一緒になると自分で決めたのだもの。
 この状況を受け入れなくては。
 大広間にはもう人が集まっていてざわめきが聞こえた。
 パーティは立食形式で、奥にはオーケストラがいる。
 会場には知った顔がチラホラいた。
 清さん、春子さん、直史、葵姉さま、他にも私の女学校時代の友人が数人いるのを見て少し安堵する。
 父の姿はない。
 鷹政さんが父に『凛には二度と近づかないでください』と言ったのだから当然なのだけど、いないとやっぱり気になる。
 
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