昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 みんなの視線を感じる。
 落ち着け、落ち着け。
 笑顔を忘れるな。
 気が動転しそうになる私の手を鷹政さんは強く握って、声を潜めた。
「大丈夫。みんなあの綺麗な女性は誰だって思ってる」
 ニコッと微笑む彼に励まされ、私も微笑み返した。
「今日はお忙しい中お集まりくださりありがとうございます。お陰さまでこうして日本最大の客船『かがやき』を皆さんにお披露目することができました。……私の婚約者の凛です」
 彼が招待客に私を紹介し、慌ててペコリと頭を下げる。
 私は彼に言われた通り、笑っているだけだった。
 鷹政さんの挨拶が終わると、清さんが壇上に来て乾杯の音頭を取る。
 今日の彼は和装ではなく、背広を着ていた。
「総帥と凛さんの未来に乾杯!」
 シャンパンの入ったグラスを高く掲げ、清さんは私に向かってウインクした。
 それからオーケストラが『チャールストン』を演奏し始めると、鷹政さんが私の手を引いて大広間の中央に連れていく。

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