昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「もう一曲お相手いただけませんか?」
 そう言って恭しく私に手を差し出す鷹政さんの手を取り、弾けるように笑った。
「ええ、喜んで」
 次はタンゴを踊るが、彼と息はピッタリ。
 招待客も私たちのダンスに見入っていて、曲が終わるとみんな拍手してくれた。
 すべてが輝いて見える。
 パーティって苦行のように思っていた。
 それに、この高揚感はなんだろう。
 こんな経験は初めてだ。
 そんな風に感じるのはきっと鷹政さんが隣にいてくれるから。
「みんな凛に見惚れてる。俺も誇らしいよ」
 鷹政さんが私の手の甲に口付ける。
「鷹、鷹政さん……恥ずかしいです」
 赤面する私を見て彼はクスッと笑った。
「さっきまであんなに堂々と踊っていたのにな」
 思いのほか鷹政さんとのダンスを楽しみ、ジュースを飲んで渇いた喉を潤していたら、姉と弟に声をかけられた。
「凛ってダンス得意だったのね。羨ましいわ」
「みんな凛姉さんたちの踊りを見ていたよ。鷹政さんと練習したの?」
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