昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「失礼だとは思うんですけど、誰が誰だかさっぱりわからないです」
 挨拶だけで疲れてしまった私が苦笑いすると、鷹政さんは優しく微笑んだ。
「一緒に仕事するわけじゃない。大丈夫だ。凛はうまく相手している」
「そうそう、凛にしては上出来よ」
 春子さんが口元に笑みを浮かべながらこちらにやってきた。
 今日の彼女はノーブルな濃紺のドレスを着ていて、元々スラッとしているけれど、よりスリムに見える。
「わ~、春子さん、三日ぶり。会いたかったよ」
 春子さんにギュッと抱きつけば、彼女はヨシヨシと私の頭を撫でた。
 彼女とは私が鷹政さんの家で暮らすようになってからもちょくちょく会っている。
 私が鷹政さんと話し合って会社を退職することに決めたから、彼が私を気遣って春子さんを屋敷に呼んでくれるのだ。
「俺にもそんな風に抱きつかないのにな。仲がよすぎて妬けるよ」
 鷹政さんが少し拗(す)ねた様子で私と春子さんに目を向けると、春子さんはおもしろそうに笑った。
「あら、あの氷帝が私に嫉妬してるわ。凛はこんなに溺愛されていていいわね」
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