昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 どうすればいい?
 今大広間に戻って鷹政さんに知らせに行けば、手遅れになるかもしれない。
 幸いにもドアの影で見えないのか、彼らは私に気付いていない。
 橋本清十郎と彼の部下らしき人がふたり。私ひとりでは彼らを止めるのは無理だ。
 ああ~、どうすればいい?
 こういう時、鷹政さんの冷静かつ有能な頭脳が欲しい。
 髪をグシャッとかき上げたら、彼らの声が遠のいて……。
 考えてる場合じゃないわ。追わなきゃ!
 靴を履かず、足音を立てないようにして彼らの跡をつけてデッキに出る。
 もう空は夕日が沈んで闇色に染まっていた。
 だが、船内の明かりが漏れていて、デッキにいても人の顔ははっきり見える。
 橋本清十郎はメガネをかけて変装していた。
 目の前には十数メートルありそうな大きなマスト。帆が張られていて、一目見るだけで圧倒される。
 彼の部下がマストによじ登り始めたので目を細めた。
 どうするつもり?
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