昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
凛がしつこく右京に手を合わせてお願いしたその時、弥生が彼女の前に仁王立ちして注意した。
「結婚式の主役は花嫁なのよ。凛さまはニコニコして大人しく写真を撮られてればいいの!」
 喧嘩腰に言う弥生の発言を伊織は穏やかな顔で意訳する。
「綺麗なのにもったいないと弥生は言ってるんですよ。時間ですので、そろそろ行きましょう」
 伊織の言葉に凛が「はい」とおしとやかな様子で返事をした。
「さあ、行こう」と俺が彼女の手を取り、部屋を出て玄関に向かう。
 前に停まっている車の後部座席に凛と座り、彼女に顔を近づけてそっと囁いた。
「綺麗だ」
 俺の言葉に反応して彼女の頬が桃色に染まる。
「……ありがとうございます」
 三十分程車に乗っていると、都内にある青山家ゆかりの神社に着いた。
 式自体は家族だけで行うことにしていて、親戚は呼ばなかった。
 俺の方は祖父、伊織、右京、弥生、幸太の五人。
 凛の方は姉、弟、琴さんの三人。
< 233 / 260 >

この作品をシェア

pagetop