昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
ブルッと震えながらそんな発言をしたら、私の横で通関許可書を作成していた森田さんがクスッと笑うのが聞こえた。
 私、そんなおもしろいこと言った?
 横目でチラッと森田さんを見るがいつものように無表情で仕事をしている。
 気のせい? 彼、あまり笑わないもんね。
「一度だけパーティで見たことがあるけど、かなりの美形よ。おまけに独身」
 春子さんが話を続けたので、彼女に視線を戻した。
「ふーん、そうなんだ」
 かなりというかとびきりの美形なら私の隣にもいますよ。
 でも、これは私だけの秘密だ。
 森田さんはあまり目立ちたくない人なのかもしれない。だとしたら、余計なことは言わない方がいいだろう。
「興味なさそうね。独身の御曹司って結構いるのよ」
「そんな遠い世界の人、会うことないもの。それに、そういうお金も地位もある人は深窓のご令嬢とかと結婚する」
「凛もご令嬢だけどね」
「春子さんに言われてもね」
 彼女は世が世ならばお姫さまだもの。
 お互い目を合わせて笑っていたら、佐々木さんがやってきた。
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