昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 氷のような鋭い目で森田さんに睨まれ、佐々木さん……いや橋本さんは「やっぱりバレてた?」とヘラヘラ笑いながら唇の血をペロリと舐めた。
 どうやら森田さんに殴られて唇を切ったらしい。
 佐々木さんて本当は橋本清十郎って言うの?
 橋本という名前で御曹司。それでピンとくるのは橋本財閥だ。
 橋本財閥は青山財閥に次ぐ、日本三大財閥のひとつ。
 彼は橋本財閥の人なのだろうか?
 どうして森田さんは彼の正体を知っているの?
 そんな疑問を抱いていたら、森田さんが背筋が凍りそうなほど冷たい声で橋本さんに告げた。
「お前がうちに潜入して、武器取引について調べていたのは知っている。一緒に社長室に来てもらおうか」
「怖いねえ。噂通りだ。まさか次期総帥が出てくるなんて想定外だったよ。最後に凛ちゃんと熱いキスをしたかったんだけどなあ」
 橋本さんはニヤリとすると、そばの棚にあった瓶を手で落として足で蹴り上げた。
 それは一瞬の出来事。
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