昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
自分で御曹司と言っていたけれど、ただの御曹司ではない気がする。彼から底知れぬ不気味さを感じた。
「青山国際通商のライバルの『橋本総合貿易』の専務だ。橋本財閥の総帥の息子で、次の総帥候補と言われている」
 彼は上着を着ながら淡々とした口調で私に説明する。
 やっぱり橋本財閥の人だったのか。そんな人がなんでうちの会社にいるの?
 それに橋本清十郎は森田さんのことを『次期総帥』って言わなかった?
 橋本清十郎の正体に気付いていた森田さんも謎めいている。
 あー、なんだか頭の中がごちゃごちゃ。
「森田さん、保科さん、ここにいたのか。社長と総帥が今仕事場に来てるから、早く戻って!」
 部長が血相を変えて倉庫に来て、森田さんと私は「はい」と返事をする。
 そうだ。橋本清十郎のことがあってすっかり忘れていたけど、今日は青山財閥の総帥が来ていたんだった。
 仕事場に戻って自分の席の前で立つが、空気がピリピリしていた。
 これからなにがあるというのだろう。
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