昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「青山国際通商にスパイがいるっていう噂を聞きつけて、こうして調査しに来たんですよ。おじさんに任せておけないですからね」
「お前、何様のつもりだ?」
 激昂する社長を歯牙にもかけず、森田さんは不敵な笑みを浮かべる。
「総帥の右腕のつもりですが、それがなにか? うちをスパイしていたのは橋本総合貿易の専務の橋本清十郎。さっきまではそこの席にいたんですけどね。俺に正体を知られて逃げましたよ」
 森田さんが橋本清十郎の席に目をやると、社長は驚きの声をあげた。
「橋本総合貿易の専務が犯人だと?」
「ええ。ですから、保科さんが犯人ではありません。有能な社員を犯人扱いするなど言語道断。あなたには社長の座を下りてもらいます」
 森田さんは社長に冷酷に告げるが、社長は狼狽えながら言い返した。
「お、お前になんの権限があってそんなことを!」
「総帥の右腕と言ったのを忘れましたか? これは総帥の命令です。従ってもらいます。無能なものはたとえ総帥の娘婿であろうとも切りますよ」
< 64 / 260 >

この作品をシェア

pagetop