不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「なんのことですか?気を引くなんてしてませんよ」

「本当にわからないのか?」

「わかりませんよ」

「鈍いにもほどがあるだろ。最近の香恋、愛想が出てきて、あーやって勘違いする男がいるって分かれよ」

「…宮内さんのことですか?」

「そうだよ。無愛想の香恋に戻れよ。じゃないと、あーいうやつが、また出てくる」

「ヤキモチですか?」

「…そうだよ。ヤキモチやいちゃダメか?」

「嬉しいです。聖也さんが妬いてくれるなら、これからもっと愛想よくするのもいいですね」

俺を揶揄うなんて、生意気な…
でも、可愛いやつ…
愛しさでぎゅっと抱きしめる。

「そんなこと言うなら、見えるとこに俺のしるしだって、いっぱいつける」

首を狙うふりをする。ふりだ。
本気でするつもりなんてない。
つけてもひとつぐらいなら、いいだろうか。

「ダメ、絶対ダメ」

本気で嫌がるので、ムッとなる。

香恋の手を壁につけて拘束。

「ダメですからね。つけたら、口ききませんよ」

以前、ちょっとだけだが口を聞いてもらうまで、手を焼いたというのに、そんなことになったら、どうしたらいいかわからない。

「…はぁぁ、卑怯だぞ」

「私の身にもなってください」

まぁ、香恋の気持ちもわかる。
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