不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
はい?
私の手の甲を上にして、指先から握った主任。
そして…手の甲に唇をのせて、チュッとして離れる。
何がおきたか理解できたのは、先程の店員さんの黄色い声。
「きゃー見てられない」
そう言いつつも、ガン見されてます。
主任も、その子に手を振りニコリ。
そして、また、黄色い声。
他のお客様も、顔を赤らめ絶句しています。
私も、恥ずかしくて居た堪れない。
その後、周りからの生暖かい視線に居た堪れなくて、すぐに帰ると言う私と一緒に、主任もレジへ。
先程の女の子が、率先してレジに立っていた。
お会計は、別のつもりでいたのに、レシートを上から奪われて「一緒にお願いね」と、笑顔を振り撒く主任。
「はい、喜んでお会計させていただきます」
「よろしく」
イケメンが微笑むせいで、おかしくなっている女の子を、揶揄って面白がっている。
支払いが終わり、帰る間際「君のおかげで、仲直りできそうだ。ありがとう」なんて言われた女の子の店員さんは、照れ顔でうれしそ嬉しそう。
「…お役に立てて、よかったです」
「また、おふたりで来てくださいね」と、頬を染めて笑みを浮かべる彼女に、見送られてお店を出たのだ。