不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

もちろん、手を繋いだままなので、隣を歩きだす主任がいて、歩きながら、顔をのぞいてくる。

「うん、どんな手を使っても仲直りしたいからな。で、どうなの?」

「主任が、かっこいいから、仲直りするわけじゃないですよ。そもそも、ケンカしてないてすし…」

そんな仲でもないのに…

「うん、そうだけど、久々に心底ムカついてビビらせたから…嫌われたくない。ごめんな」

「もう、わかりました。優香と約束してるって私も嘘ついてましたし、ごめんなさい」

「へー、うそ、ついてたんだ」

あれ?
じゃあ、なんで怒ってるんでしょ?

「兎に角、仲直り、しましょ⁈」

「うそついてたことは許してやる、お前をビビらせたことを許してくれたしな。とりあえず、この件はお互い仲直りだ」

「そう、ですね…。まだ、何かありました?」

「…なんだろな?」

「あっ、ムカついてた原因ってなんですか?教えてください」

「しばらく、考えてみたら?それより、映画を見ないか?」

信号で足を止めた向こうの先に、新しくできた商業施設。

誘われるまま、その中にある映画館に来たのだが、運よく?豪華なプラチナシートの席が空いていたらしい。

普通の席でよかったんですけど…

「何、いや?前にカップル席に座ったことないって言ってたろ⁈」
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