不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

そして、振り返って濡れた手がシンクを掴んで、寄りかかった。

「そんなに俺とキスしたいなら香恋からして」

彼の首に、腕を伸ばして少し引き寄せて、憎たらしい顔にある唇に触れる。

焦らされた分、フレンチキッスなんて、飛び越して、触れた瞬間、舌を絡めながら、角度を変えて、唇が隙間なく何度も触れる。

彼の方からも舌を絡め擦り上げてくる。それでもシンクの背に両手をついて、抱きしめてくれない。

「はあぁ…主任、ずっと、したかったの…もっとしてー」

「あー、もう。なんか俺の心臓おかしいんだけど。甘えるお前、可愛すぎる」

捲し立てるように叫んで、まだ、濡れているだろう手で、ぎゅっと後頭部ごと背中を抱きしめてきた。

急ぐ勢いで荒々しく、唇が腫れるってぐらい喰まれて、絡める舌先が蕩け、ぐずぐずに溺れ、お酒の酔いと合わせて、焦らされた分、敏感になり、脳髄まで痺れ、ビグっと体が戦慄きキスだけで軽く意識が飛んでしまい、ふわふわとぼんやりとしながら息を乱していた。

「はぁー、その蕩けた顔、たまらない」

どこか余裕がない掠れた声は、とてもセクシーで、甘く囁かれれば、魔法にかかったように素直になってしまうらしい。
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