不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「俺の名前呼んで」
「んっ…せ、いや」
「上手…俺のことスキ?」
敏感な唇に、チュッとご褒美のキスと、甘やかす声は、まだ、感じたままの体には、甘い毒でしかない。
言われるままに、
「…せーや…すき」
「…胸が苦しいんだけど、やばい、もう一度聞かせて」
コクンと頷き、
「…好きなの…好き…ずっとすき…だったの……」
止まらない本音を口に出して、抱きついたまま薄れる意識。
その向こうで
「うそだろ。これからなのに…ほら、起きろ。起きてくれよ」
と絶望感漂う声をあげていたことは知らない。
翌日は、主任に起こされて目が覚めた。
「かれん…香恋…起きろ。…起きないと仕事いけないほど抱くぞ」
物騒な声に一気に意識が浮上しガバッと起き上がり、防御の構え。
「プッ…なんだよ。その構えは」
「あっ、いえ…おはようございます」
ごまかすように、髪を耳にかけた。そして、自分は、昨夜のままの姿なので、寝落ちしたのだと伺える。
「おはよう…準備必要だろと早めに起こした」
「ありがとうございます」
壁にかけてある時計は、6時を過ぎたところだったので、2時間は余裕がある。