不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
そして、チュッと手のひらにキスをするのだ。
朝から、凶暴すぎる色気にキャパオーバーです。
「かれん、俺の名前呼んで」
優しい声で誘惑する。
「…せ、いや、さん」
頬を緩め、満足顔の主任。
「…まぁまぁだな。よし、やる気出てきた。頑張るか」
えっと、不穏なセリフに身構えた私に、主任が、一瞬、固まる。
「…プッ、襲われると思ったのかよ。時間足りないし、仕事行かないとだろ。まぁ、お望みなら、短時間コースでしますか?」
「…もう、もう、もう」
勘違いして揶揄われて、恥ずかしくて顔を両手で覆った。
「あはは…ほら、機嫌直して、準備して来いよ。朝食作って待ってる」
私の頭をポンポンと撫でた後、立ち上がって、んーと、背伸びして「シャワー浴びてくるか」と浴室へ行ったのだ。
部屋の主がいなくなって、ガバッと起き上がった私。
「勘違いして、恥ずかしい…もう…意地悪なんだから」
恥ずかしさに頬を赤らめながら、頬が緩んでいる。
そして、時計が目に入り、やばいと慌てて部屋に戻って準備することになる。
シャワーして、スキンケアをしてもメイクを落とさなかった肌は、カサついていて、「もう、私のバカ」と昨夜の自分に悪態をついて、顔のむくみに化粧のりも悪くて、落ち込んで、乾かした髪も、うまくまとまらず、もう、絶対、仕事前にお泊まりになる現状を避けようと思うのだ。