不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

ぼー然とドアが閉じるのを見ていた私は、ガチャンと鳴る音と同時に、腰が抜けたようにしゃがんでいた。

主任、どうしたんですか?
普段以上に、甘いんですけど…

私達、恋人同士じゃないですよ。

勘違いしちゃいけないと思っているのに、あまりの嬉しさに頬は緩み、髪がまとまらないのも、化粧のりが悪いのも、どうでもよくなっていた。

主任が作ってくれたホットサンドも、勿体無くて、半分だけ食べて、残りはお昼ご飯にしようと鞄にしまった私は、出勤したのだった。

「おはようございます」

「おはよう、香恋ちゃん」

「高木さん、昨日は、ありがとうございました。あと、デートの邪魔してごめんなさい」

「ほんとだよ。ねぇ、優香ちゃん」

「バカ…冗談でも言わない。香恋が気にするでしょ」

「そうですよね…」

「ほら、落ち込んだじゃん。気にしてないから大丈夫だよ。斗真のバカの言うこと間に受けないでいいから」

「でも、2人の邪魔したのは事実だし」

「もう、いーすよ。あの後、優香ちゃんといっぱい、調教ごっこして楽しかったし、気にしないでね」

優香は、突っ込むのも忘れて、頬を赤らめて、「わー」と叫んでましたが、ごめんね、聞こえちゃったと目配せに、更に顔を真っ赤になって「斗真のバカ、なんでこんなの好きになったんだろ」とぼやいてました。
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