義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
「そうだね。なんでもできるんだなって思うよ。生徒会のお仕事もすごいてきぱきしてるし」
「そうだよねぇ! ああ、いいなぁ梓ちゃん、おうちでも生徒会でも小鳥遊先輩と一緒なんて」
「家はともかく、生徒会は偶然だよ」
 そう言ったけれど、自分で言った言葉にちくりと胸が痛んだ。
 渉のことをよく知っていて近くにいるのだとアピールするような言い方だった。
 こんな、優越感に浸るようなこと。
 でもそれが恋だともわかっていた。
 相手のことを特別だと思えば嬉しくなってしまうような気持ち。
 特別扱いをされたら心が踊ってしまう気持ち。
 そういうものはどうしてもある。綺麗な感情だけではないのだ。
 だから醜いとは思うけれども、受け入れないといけないのかなぁ、とも思う。
「ねぇ梓ちゃん! こんな感じでいいかな?」
 そこへ楓が声をかけてきた。小さく切ったピーマンを手にしている。
「あ、うん! いいと思う! このくらいの大きさのほうが、網から落っこちにくいと思うし」
 あまりに細かく切ってしまうと、バーベキューには向かない。炒め物に使うより大きめのほうが安全なのだ。
「なぁにー、楓ちゃん。料理苦手って言ってたのにうまいじゃん」
 そこへつぐみがひょいっと覗き込んできて褒める。楓は照れたようにちょっと笑った。
「えへへ。そうかな」
「楓ちゃん、元々器用なんだから、少し練習したらすぐにうまくなるよ」
 梓も楓のことを褒める。心からの言葉だが。
 そのあとは和気あいあいとバーベキューの準備に戻った。手分けしておこなったためもあって、一時間もかからずに済んでしまったくらいだ。
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