穂先輩が甘々すぎる。
「…ほたるさ。なんでそんなかわいいわけ?」
「え…?」
…絞り出されたような、低くて掠れた切ない声。
私は、ドキッと心臓が跳ねた。
てっきり怒られるだろうと思っていた私の予想は、どうやら外れたみたい。
かわいいなんて、そんな要素…どこにもないよ。
私たちは、同じ学校の先輩と後輩の関係なのに。
それにも関わらず、やきもちなんてやいてしまった面倒くさい後輩なのに…。
私のどこを探しても、かわいいところなんか何もない。
すると私の肩から頭を離した穂先輩は、真面目な顔つきで私を見下ろした。
優しく吹く初夏の風に揺れる私の髪に、穂先輩の細くて長い指がスッと通る。
私に触れるそれは、まるで慈しむような…優しい手だった。
「せ、先輩…。」
「ごめんな、ほたる。その場で気づかなくて。…悲しかったんだな。」
「………っ」