腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】

 私はお金の入った封筒をカバンにしまった田中さんを見て微笑む。
 そしたら、先ほどの須藤先生の言葉がやけに頭の中を反響してきた。

『この子とやったらあとで絶対に面倒なことになるってセンサー』

 田中さん、センサー鳴ってないよね?
 だって私たち結婚するんだもん。


「あの……」

 私は自分の手をぎゅっと握る。「先週はごめんなさい。でも今夜こそ……大丈夫だから、あの……」

 だめだ。ちゃんと言おう。今日は月曜だけど……。
 結婚するんだから、頑張って処女守ってないで、一歩前に進むために頑張ろう。

 そしたらきっと不安は消える。
 まっすぐ田中さんを見た。


「今夜、田中さんとずっと一緒にいたいって思ってます」

「それって」

「あの……だめですか? 私、今日こそ痛くても我慢します」

「……えっと」


 田中さんが困ったように目線をそらす。
 そのしぐさにどきりとした。

 センサー鳴ってる?
 私が処女だから?

 それから、田中さんはすっと目線を落とすと、

「やっぱごめん。キミのこと、大事にしたいから」

とつぶやく。

「田中さん……」

 それは優しさ、だよね? 田中さん……。
 聞きたい。でも聞けない。やだ、なんか泣きそう……。
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