腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「僕がだれかとキスしてたのをあげはは見てたんだよね、あの時」
「え……知ってたの?」
「知ってた。それにあげはが自分に好意を持ってたことも知ってた。だけどそれを伝えられてしまうとさ、どうにもならないと思ったから、あげはに他の女とのキスを見せつけた。諦めさせるように、わざわざあげはが通る道の近くでああいうことして」
私は言葉に詰まる。
「……えぇっと」
「僕も諦めたと思ってたよ。でも、全然そうじゃなかった。あげはの家庭教師、中高時代してたけど、あげはと二人きりの部屋で、何の拷問かと思ってた。ついでだから周りにいる悪い虫は全部退治してたけど」
よくわからないけど、私が絶望的にモテてこなかったのは、
この先生が多少なりとも関係していそうだ。
「あげはが大学卒業してうちの研究室に来て……。嬉しかったけど、やっぱり気が気じゃなかった。危ない虫は早めに退治してたせいか、あげはは何もしらなすぎる子になっちゃってるしさ。そこは、ちょっと責任感じたりして……。そしたら、何? あのアホみたいな詐欺師・田中。ふざけんなよ、ってなったわ。キスとか、勝手にされないでよ」
「……ええっと……ごめんなさい」
私が謝ると、須藤先生は困ったように笑って……それから、
「だからね、信じてくれる? 僕もあげはのことが、好き。大好き。多分あげはが思っているよりずっと強く好きだと思ってる。多分これは、愛してるってことだよ」
そう言った須藤先生の表情は真剣だった。