腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
早く追いかけないと。
さっきあげはのカバンにGPS仕込んどいてよかった……。
そんなことを思いながら、吉野さんに向き合う。
「先生ゲスだったの~?」
楽しそうにケラケラ笑う彼女。「でも、私、先生となら一晩の関係でもいい」
まっすぐ僕を見てそう言った。
僕はそれが、一瞬で虚勢だってわかった。
この子のことも小さなころから知っている。
そして、この子が僕に抱いた恋心も良く知っている。
「僕はね、彼女にしか興味がない。だからごめんね? 君が、この前、真剣に告白してくれたことだけは分かってたから。ちゃんと言っておきたかった」
先日、吉野さんに告白された。
精一杯考えた結果だったのだろう。
見た目は派手だが、中身はそうではないとも知っていた。
でも僕の心が吉野さんに揺らぐことはなかった。
「……」
「もう彼女とは結婚するつもりでいるんだ。結婚式には、学長にも、キミにも来てほしい。僕が好きな人といる時、どんな顔してるかきちんと見てほしい。きっとキミやほかの女性に向けている目や欲と、全然違うんだ」
酷いこと言ってると思う。
でも、きちんと断らないとこの子は前に進めない。
吉野さんは下を向くと、
「そんなの私だってとっくにわかってたのに。先生、本当にゲスですね」
「え……そう?」
「先生って、酷いです。結局、振る時まで優しいから」
吉野さんはそう言って笑った。
僕は一つ息を吐く。
これまで、彼女とのはっきりしなかった関係のせいで
こうやって傷つけた人数は一体何人だったのだろうか。