腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】

<須藤裕准教授の場合>


「あげはちゃん?」

「あ……野添先生? お久しぶりです。今確か、千葉の方の大学でしたよね」

「うん、今日は打ち合わせ。これ、お菓子。頂き物だけどよければ食べて」

「ありがとうございます!」


 夕方、講義を終えて鳥羽研究室に戻ると、
 そこで、あげはが思わぬ人物と話していることに気づいた。

 以前、うちの大学にいて他大学に移った野添徹教授。
 48歳で教授という昇格の速さはもとより、負けず嫌い、そして女好き。

 他大学に行って安心していたが……。
 たまに来てあげはを見つけるって、どういう嗅覚してんだ……。

 そう思って、思わず眉が寄る。


「結婚したんだって? 相手、須藤先生でしょ。ずっと狙ってたもんなぁ、彼」

「あー……はい」


 あげははそう言って微笑む。
 恥ずかしがりながら結婚報告をするあげはは、控えめに言っても超かわいい。

 その時ふと、朝はしていなかったのに、なぜかあげはがストールを巻いていることに気づいた。
 それに眉を寄せて、二人の方に歩み寄ろうとしたとき、


「あげはちゃん、随分大人っぽくなったね」

 そう言って、野添先生はあげはの髪を撫でる。

「ひゃっ!」

 あげはの悲鳴を聞いて、
 プチリ、と何かが自分の中で切れた気がした。

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