腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】


 家に帰る車の中でも、あげはは不機嫌。
 父親に痴話げんかを見られたのも恥ずかしいらしく、首を限界まで僕とは反対方向に向けている。

 僕はというと、恥ずかしがるあげはも好きだけど、なんで恥ずかしがるのか分からない。
 だって、僕らは夫婦だし、『そういうこと』をするのだって当たり前だ。


 新居の中に入るなり、

「あげは? 僕はあげはと「普通の夫婦」なんかになりたいんじゃないよ」

と言った。
 あげははうつむくと、


「だっ、だからってうそは良くないですよね」

「何が嘘?」



 僕が聞くと、あげははバッと僕の方を見て、自分の首筋に手をやる。


「これ。こういうの、いっぱいつけないで! 『みんなあるし夫婦なんだから普通だよ』って先生は言ったけど、普通見えるとこには付けないって聞いた!」

「あげはは、僕とのこと、他の人に知られるのが嫌なの?」

「え? え……? そ、そういうわけじゃないけど……恥ずかしいし」


 あげはが戸惑う。


「ふうん。でもこれは、男避けにもなるの。実際、あげはは今日、これ隠してて触られてたよね」


 野添先生のことだ。まぁ、それだけではないと分かってる。
 でも、野添先生があげはの髪に触れたことが思い出されると、ふつふつと怒りもわいてくる。


「あれは野添先生誰にでもしてる……」

「そんなわけないでしょ」


 僕はあげはの髪に口づける。
 それから、耳朶を舐めると、また首筋に唇を落とした。

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