狼男  無限自殺 編



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「こちらが証拠の写真と音声になります。

弊所としては“調査は十分”と判断していますが、ご要望でしたらまだ続けましょうか?」


「いえ・・ありがとうございます・・。」


隣に座るユカリさんが、淡々とフィッティングルームの密会を提出する。


対面に座る依頼者のA子さんが段々と嗚咽を交え始める。



「あの・・これ良かったら使ってください。」


「・・スッ・・ヒック・・
・・ありがとうございます・・。」


だから私はティッシュ箱を差し出した。





「ちょうど頂きます。また何かありましたらいつでもどうぞ。」


A子さんから受け取った封筒の中身を数え終えると、ユカリさんが席を立つ。



“同情,悲哀,畏怖、偏見。私達はそのような感情が欠落していますので”

以前、ユカリさんから言われた言葉。


いつもは大体ヒマだけどたまに来る浮気調査。

その依頼人と接する態度を見ても、

私とお煎餅を食べながらテレビを見る無表情の横顔を眺めていても、

ユカリさんは冗談じゃ無くて、
本気でそう言っている事が分かる。


だけど私は・・そこだけは決して真似も・・見習う事もできない。



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