夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
スマホをポケットに戻し、空き教室へ向かう。ちょうど三階にいたので渡り廊下を使って旧校舎へ入り、突き当たりを左に曲がったところにちょうどある空き教室へ入る。

窓側の一番後ろの席に咲結は座っている。私が来た途端、読んでいた本を閉じて「遅いよ!」と笑いながら言った。

「待たせちゃってごめん。食べよう」

そう言いながら咲結の前の席に座り、菓子パンの袋をガサガサと開ける。

「菓子パン、好きなんだね」

咲結が弁当箱のフタをパカリと開けながら言う。中には半熟たまごを乗せたオムライスがつめてあり、赤いケッチャプがたっぷりとかけられていた。

「作る気にならなくて。てか、ケチャップ多すぎじゃない?」

「これぐらいがおいしいのよ」

咲結はそう言いながらオムライスを一口、おいしそうに頬張る。私も料理の味のなさを感じなくなったら一度、食べてみたいなと羨ましく思った。

「胡桃さ、困ってることない?」

しばらくの沈黙が続いたあと、咲結がふいに切り出した。

ちょうど仁菜から頼まれた事で迷っているのだけれど、幽霊に会ったなんて夢のような話を信じてくれる人はあまりいないだろう。

「ないよ」
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