夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
「すごっ!いつの間に?」

「こんなこともあろうかと用意しといたの」

感心する私にどや顔をかまされる。そもそもいじめてきたやつのためにノートをコピーしてたなんて勇気に溢れている行動だ。もしくはどうかしている。とはいえ、気を利かせてくれたみたいで嬉しい。

「ありがと。これを私が届けたらいんだね。帰り道に寄ってみるよ」

「うん、任せたよ。また話聞かせてね」

咲結は微笑みながらそう言う。そこでタイミングよく、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「りょーかい。またね」

「うん、またねー」

階段を降りてゆく咲結を見えなくなるまで見送ってから教室へと戻る。私なんかが椿にポッカリと空いた穴を埋められるのか心配だけど、やってみるしかないのだろう。そうしないと何も始まらない。

もうすぐ昼の授業が始まるということで、ざわざわとした教室が落ち着いてくる中、唾をごくりとのんで覚悟を決めた。


その日の放課後。校舎を出ると雨はまだ降っているままだった。朝と変わらず傘をさしているのも無意味なほど激しい雨が地面に打ち付ける。

ため息をついて傘もささずに雨の中を歩く。明日風邪を引いてしまうかもしれないが、それは承知の上だ。

本当は咲結と一緒に行きたかったのだが、帰り道が違うし、部活があるからと言ってそそくさと体育館の方へ行ってしまった。
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