夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
椿はニコリと笑いながら掻き分けていた前髪を直す。その近くにある耳が赤くなって見えたのはきっと気のせいだろう。

夕日が沈み終えた空を眺めてみる。

地平線の境目には微かに茜色がまだ残っている。東の方からは既に白い満月が昇ってきていて、その周りは濃い青色の空が広がっていた。

これからだんだん暗い暗い闇の時間となる。そうならないうちに私達はそれぞれの家へと帰った。

季節外れに実り始めた胡桃の実は収穫時になるくらい、良い実に実ったのだった。


「キャー!羨ましー」

翌日の昼。空き教室で咲結に昨日のことを話すと黄色い歓声が響いた。

近頃の女子はみんな叫ぶのだが、私にはよくわからない。時代の波にでも乗り遅れているようだ。

「そうなのかな」

「そうだよ。東山君ね、私小学校も一緒だったんだけど、一度も彼の目を見た人はいなかったんだよ。なのに胡桃ったらずるーい」

咲結はいかにも興奮しているような口調で言う。そして私の肩をグイグイおしてきた。

「痛いってー」

肩をすくめて言うと、「ごめんごめん」と咲結は離れてくれた。

「私、応援するよ」
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