夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
助けたかった。大切な人を。だから新たに出会った君を助けたい。罪滅ぼしのようなものかもしれないけれど、今逃げてしまえば後悔する。自分は弱虫だって一生責めることになる。それはもう、やめたい。終わりにしたい。

意を決して重たい足を前に踏み出す。膝を抱えて顔を埋めている椿の体は震えていた。

「来るなって言ってるだろ?わかるよな?傷つけたくないんだ。もう誰も」

嗚咽を洩らしながら椿は言う。

そう言っている理由はわかる。元は傷つけられた側だから。でもだからこそ、寄り添いたい。弱虫な自分のせいで誰かを失うのはもう嫌だ。

「傷つけてたっていんだよ。人は互いに傷つけあって生きていくものだから」

思ったよりその言葉はするりと口から出た。その勢いに任せて言葉を紡ぐ。

「聞かせて。椿が私達を殴りたくなるもう一つの理由を」

言い終えたことにホッと胸を撫で下ろしてから唾をごくりと飲む。それを聞いた椿は驚いたようにこちらを見ている。しばらくして諦めたようにふっと笑った。

「ああ。隣に座れ」

椿はそう手招きする。さっきまでとは違って、いつものような穏やかな口調に戻っていたことに脱力して、倒れるように座り込んだ。

椿はそれを確認してから一つ息を吸う仕草をして、口を開いた。

「ごめんな。傷つけたくないのに傷つけてしまって。仁菜さんにいたっては自殺させてしまって。本当に後悔してる」
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