夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
ただ問題は椿が同意してくれるかどうかだ。それを聞かなければ、何も始まらない。

「ああ。連れてってくれ」

躊躇いもなく椿は言った。

お望み通りとでも言うように私は椿の手を引き、大木公園を後にした。

今更だが、連れていくと行っても行く宛は一つしかない。私の家だ。幸い両親は海外出張中なので困惑させてしまうことはないだろう。とはいえ、椿の家は近所だ。見つかる可能性は充分にある。だけどそうまでして気づかせないと時の針は動き出さない。覚悟を決めるように唾を飲み込んだ。

椿は戸惑いもなく、私が引いている手を振りほどこうとすることもなく、無抵抗でついてくる。その手の温かさは信じられているように感じられて、嬉しいはずなのに、どこかむずがゆかった。

「ねぇ、生きる意味ってなんだと思う?」

ふいに昨日、椿が見せた栗色の死んだような目が脳裏をよぎり、聞いてみた。

「なんだろう……よくわからない。今まで生きてこれた理由もわからないし……未知の未来を生きる意味はない。だけど、俺は胡桃に助けられるのを待っていた……ような気がする」

しばらくの沈黙のあと、途切れ途切れに椿は言った。

私は目を見開いた。私が椿を助けなければいけない運命なのだと言っているのだろうか。そのように聞こえた。その反面、待っていたという言葉に胸が熱くなる。

だけど……。

「まだ完全に助けれたわけじゃない。ただ連れ出しただけ。このままで放っておけるわけないよ」
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