癒やしましょう。この針で!!~トリップしても根性で乗り切ります。

それから十五分後、愛来はロッドの腰に刺さっていた針をすべて抜き、ゆっくりと起き上がるように指示した。それを聞いたロッドは愛来の指示に従いゆっくりと起き上がり、驚いた。

「おいおい……どうなってるんだ?さっきまで二人に支えてもらえないと動けなかったっていうのに……動けるじゃねえか」

 ロッドの驚いている姿を見ながら愛来は微笑んだ。

 一回の施術でずいぶん良くなったわ。

 良かった。

「今日はこれでお終いですが、何日か通ってもらった方が良いと思うのですが大丈夫ですか?」

「ああ、それは大丈夫だ」

「それとあまり大きく腰を捻ったりはやめて下さい。仕事柄低い態勢をやめることは出来ないと思いますので……、もう少し腰が良くなったら腰痛に効く体操などを教えますね」



こうして愛来はライデン治療院で働くこととなったのであった。



 *


 愛来は本日最初の患者さんであるロッドの腰に針を刺しながら、初めてロッドに針を刺した日のことを思い出しクスクスと思い出し笑いをした。


「ご機嫌だな愛来」

「ライデン先生すいません仕事中に……初めてここへ来たときの事を思い出していました」

「ああ、あの日のことは私もよく覚えているぞ。まさか賢者宗次郎の孫娘が訪ねてくるとは……宗次郎殿と同じ魔力オーラを持ち合わせた者がいることにかなり驚いたからな」

 ライデン先生はあの日、私のオーラがお祖父ちゃんと同じだと言うことにいち早く気づき、ロッドさんの治療を任せようと思ったらしい。魔力には人それぞれ違うオーラがあり、色や形が違うらしい。簡単に言うと炎の魔法が得意な人は赤いオーラに、水魔法が得意な人は青に風魔法が得意な人は緑に光り魔法が得意な人は白銀に見えるという。そして稀に全ての魔法を操ることができる天才のオーラは虹色に光るというのだが……。


愛来はいつか虹色のオーラを持つ人物に合ってみたいと密かに思っている。


案外近くにいたりするのだが……。







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