離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「離婚してもらう、つもりでした。一カ月前の私は。だけど、気づいたら毎日楽しくて。達樹さんとの時間が、これからももっと続いたらいいなって、いつの間にか思ってて……だから、きっと同じ気持ちです」
今ある想いを口に出して達樹さんに伝える。
腕を緩めて私の顔を見た達樹さんは、そっと優しい口づけを落とした。
そして、ひとりダイニングテーブルへと向かっていく。
そこに置いてある離婚届を手に取り、私に見えるように広げてみせた。
「じゃあ、もうこれも必要ないな」
しっかりと頷いてみせると、直された離婚届は達樹さんの手によってまた破かれていく。
真っ二つになった離婚届を目にし、顔を見合わせてクスッと笑い合った。
「ハンバーグ、焼いて食べるか」
「ですね」
「でも、その前に……」
キッチンに戻ってきた達樹さんの両手が、私をしっかりと抱きしめる。
「みのり、ずっと大切にするから」
幸せな約束が唇を震わせ、深く甘く唇が塞がれた。
なんてことない日常の、ささやかな出来事すら幸せに感じられる。
達樹さんと一緒にいられれば、そんな未来が無限に広がっているに違いない。
Happy End


