離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
無言のままタクシーは目的地に到着する。
達樹さんはカードで支払いを済ませ「ありがとう」と先にタクシーを降車した。
こんなところになんで来たの……?
運転手にトランクにしまった荷物を出してもらっているのを横目に、疑問は次々と浮かびだす。
立派な高層ビルのエントランスを振り返ったところで、いきなり腰に手を回された。
「ひゃっ」
思わず変な声を上げた私を見下ろし、達樹さんは一瞬目を細める。
「なんだ、そんな驚くなよ」
「だ、だって」
驚かないわけがない。
一年ぶりに再会して当たり前のようにスキンシップを取られても、戸惑いは広がるばかり。
でも、私のそんな心境も知らずに達樹さんは腰を抱いてエントランスに向かっていく。
ドキドキなんてしたくもないのに鼓動は早鐘を打っていく。
「〝夫婦〟なんだから、こんなの普通だろ」
「なっ……」
確かに今はまだ書類上では夫婦かもしれないけど、どうも納得がいかない。
「ここに、何しに来たんですか?」
「久しぶりの〝夫婦〟の再会だろ。ゆっくり食事でもしようと思って予約しておいたんだ」