離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
また夫婦、って……。
離婚届を突き付けた身としては複雑な想いに駆られる。
達樹さんは、今の夫婦の状態に何も疑問を持っていないのだろうか?
結婚早々一年も離れていた妻になんて、愛情どころか情すら湧かないはずだ。
連れていかれたのは、上層階に位置するフレンチレストラン。
訪れると〝RESERVED〟のプレートが置かれた窓際の席に案内された。
「ワインは飲めるか」
「はい」
「それなら飲むといい。俺は飲まないが、好きなのを頼んで」
「どれでも大丈夫です。お任せで」
結婚をして一年が経つ夫婦の会話とは思えない達樹さんの質問と、私のよそよそしさ。
黒服のスタッフが注文を受け去っていくと、達樹さんは「さてと……」と向かい合う私をじっと見つめた。
「元気にしてたか」
いよいよさっきの続き、本題に入ると思いきや、達樹さんは柔和な笑みを浮かべる。
さっきから調子を狂わされてばっかりで、無意識に視線を窓の外に向けた。
「はい、まぁ……」
声はつい素っ気なくなる。
そんな私を達樹さんがフッと鼻で笑うものだから、自分がいじけている子どものような気分になった。