離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「でも、今すぐにこれを提出することは許可できない」
「え……ど、どうして?」
「俺が、お前を手放したくないと思ってるからだ」
思いもよらない言葉を受けて、瞬きを忘れて達樹さんの端整な顔を凝視していた。
聞き間違い、解釈の仕方を勘違いしているのかとまで考えてしまう。
「何を、言ってるのか……わからないというか……」
「こんなにはっきり言ってるのにわからない? それは困った鈍感ぶりだな」
「そうじゃなくて! だって、意味が……」
「見合いの日に初めて会った時、俺に宣言するみたいに言ったこと、覚えているか?」
そう訊かれて、ハッと思い出す。
もう一年以上も前の記憶。
でもあの日、達樹さんに言ったことは忘れられない私の願い。
『私はまともに恋愛したことがこの歳までありません。だから、こんな形の結婚でも、あなたと恋愛して心から愛したい』
お見合い結婚でも、恋をしてみたいと思った。
一緒の時間を過ごす中でドキドキしたり、きゅんとしたり、人並みにそういう感情を味わいたいと願った。
だけど、それは叶わなかった。