離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


 食事を終え、レストランを出るときに見た時刻は二十時三十分。

 さっき利用したエレベーターに向かっていくと、達樹さんは自然な動作で私の手を取る。

 温かくて大きい骨っぽい手。指を交互に絡められるとごつごつした感じがする。


 男性とこうして手を繋いだことすらない私は、これだけのことで鼓動を速めてしまう小中学生のような初心だ。

 その辺の女子高生のほうがよっぽど経験豊富に違いない。

 繋がれても自分のほうから握ることに戸惑い、どうすればいいのかわからないまま、次第に手の中に汗をかいてくる。

 エレベーターホールに入るとちょうどいいタイミングで一基エレベーターが到着し、達樹さんはそれに私を連れていく。


「あの、これ、上に上がりますけど」

「ああ、それで構わない」

「え?」


 下へ降りるエレベーターに乗らなくてはいけないのに、なぜか更に上昇するエレベーターに乗り込む。

 訳が分からないまま到着したのは三十七階で、達樹さんは迷うことなくフロアに私を連れだした。


「あ、あの」

「部屋を取ってる」

「……。えっ!?」

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