離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「何がしたい?」
唐突な質問に「え?」と訊き返す。
達樹さんは緊張で視線が落ち着かない私の前髪に触れると、指先で弄び始めた。
「やりたいこと、行きたいところ、全部叶えてやるから挙げてみろ」
「え……そんなこと、いきなり言われても……」
「取り返さなくちゃ、一か月後に離婚届提出することになるからな。そうならないためにも、みのりの心を掴まないといけない」
前髪に触れていた指先が頬に触れ、そこに垂れる髪を耳にかけていく。
「そんなの、たくさんあって挙げてたらきりがないと言うか……」
「そんなにあるのか?」
「ありますよ。例えば、一緒に買い物に行ってご飯を作って食べるとか、おうちでまったり映画観たりとか……観光名所とか、遊園地みたいな場所とかでデートっぽいことだってしたいし」
思い付くことを挙げていくと、達樹さんは「他には?」と落ち着いて続きを促してくれる。
「他には、海とか山にドライブに行ったり……あと、オシャレなバーで飲むのも夢です。温泉とかも行ってみたいし、旅行にだって──」