離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
心の準備をする間もなく、後ろから達樹さんの腕が私に巻き付いてくる。
引き寄せられて背中に彼のぬくもりを感じ始めると、比例して私の鼓動も大きく主張し始めた。
こんな緊張状態で、私だったら絶対に眠れない。
身動きひとつ取らずじっとしていると、しばらくして背後から穏やかな息づかいが聞こえてくる。
ね、寝た……?
巻き付く腕をそろっと外し、体を捻って振り向いてみる。
そこには綺麗な寝顔があって、伏せられた目元の長い睫毛に見入ってしまった。
やっと眠れたのだから、起こさないように気配を消して立ち去ろうと細心の注意を払って動き出す。
しかし、脚を下ろそうとベッドの外に向けたところで、眠っているはずの達樹さんの腕が、今度は捕まえるように両手で巻き付いてきた。
「っ……!」
驚いたものの、起こしちゃいけないという意識が強く働き声は上げずにぐっと呑み込む。
再び私を引き寄せて捕まえた達樹さんは、今度はしっかりと両手で私の体をホールドしてしまった。
頭の上のほうからはやっぱり静かな寝息が聞こえていて、無意識に離れようとした私を捕まえたようだ。
もっと深い眠りに入るまで、このままいたほうがいいかも……。
心臓の音は静まることを知らないけれど、少しでも落ち着こうとゆっくり呼吸を繰り返し整える。
じっと動かず、抱き枕の気持ちになって達樹さんの腕の中でとりあえず目を閉じた。