どうしているの?ねぇ、先輩…
「いや、メガネ関係なくね?」
「……あ」
目の前で楽しそうに笑ってる顔に、ギューーって、胸の奥が締め付けられる。
これが……恋?
これが、好き?
これが、泣くくらい辛くても止められない……好きって気持ち?
本当に止められないのかは、私にはまだわからないけど。
でも、これが……
「七瀬?」
「、…」
自分の気持ちに気付いた途端、なんだか急に恥ずかしくなって逃げるように下を見た。
転がる石ころを見つめてみるけど、そこからなにかが起こるわけもない。
でも、だって。
恋なんて初めてで、対処法が分からない……
石ころにすがりたくなるくらい、急にドキドキするんだもん。
「あのさ、昨日のことなんだけど」
瞬先輩の声に、少しだけ顔を上げてみる。
だけど今度は先輩のほうが気まずそうで、視線を全然合わせてくれない。
自転車の上で左足に重心をおいて、右足はペダルに預けたまま。
先輩はそのまま、伏し目がちにどこかを見てる。
それから数秒……寒そうに鼻をすすったあと、先輩はやっとこっちを見た。