どうしているの?ねぇ、先輩…


「ねぇ瞬ちゃん」

「んー?」



本当は今日、俺1個だけ瞬ちゃんに嘘をついている。


瞬ちゃん、大ちゃん、あず先輩、ごめんね。


大ちゃんはさ、あず先輩の友達だから。超仲がいいから。


きっとなにがあったって、大ちゃんはあず先輩の味方でしょ?


瞬ちゃんの近くにいる人間がみんなあず先輩の味方だったら、美香、可哀想じゃん。


最近俺は、そんなことを考えてたから。


だったら俺だけでも、って……

せめて俺だけでも、美香の味方になってあげなきゃ、って。


だから俺、今日嘘ついちゃった。



「ねぇ瞬ちゃん……美香ってね、可愛いんだよ」

「え、なに急に」

「美香ね、桃がお尻に見えるからあんまり食べたくないんだって」

「待って、なんの話だよ」

「蟹はクモに見えるから食べるの躊躇するんだって」

「いや、だからなんの話?って」

「白子は脳みそに見えるけど、美味しいから食べれるんだって」

「あっそう」

「可愛くね?」

「そうか?」

「あ、でも大丈夫、俺美香のことは友達としか思ってないから」

「ふーん」



これで美香の可愛さが少しでも伝わればいいなって、そう思っての発言だった。


のに。



「つーかさ」

「うん?」

「七瀬が可愛いことくらい、言われなくても知ってんだけど」

「……」



は……


は?



「あー、だからか」



ボソッと呟いた瞬ちゃんの顔が、さっきよりもムッとした。



「だからあのマフラー、むかつくのか」



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