どうしているの?ねぇ、先輩…
2月の冷たい風が、保健室の空気を冷やす。
窓の外に腕を垂れ流した瞬ちゃんの髪が、風に乗ってなびいてる。
瞬ちゃん、寒くねぇのかな。
「なぁ、直人ー…」
だらしなく外を見続ける瞬ちゃんが、外を見ながら俺を呼ぶ。
「んー?」
緑茶を飲みながら返事を返す俺に、瞬ちゃんは目を向けない。
サッカー部なのか陸上部なのか……それともその辺をただ歩いてる生徒たちなのか、誰を見てるのかはわかんないけど。
俺の場所から見える瞬ちゃんの背中が、必要以上に丸まって見えるのはなんでだろう。
「俺さぁ、なにしちゃったんだろ、七瀬に」
「え?」
「やっぱ初詣の日、あずんとこ行ったのがまずかったのかなぁ…」
「………」
瞬ちゃんが、外を見ながらヘコんでる。
背中が丸く見えるくらいに、ヘコんでる。
美香と瞬ちゃんが、初詣の日以来ろくに喋ってないことは、美香から聞いて知っていた。
瞬ちゃんとあず先輩がキスしてる現場を目撃したってことも、それで瞬ちゃんの顔が見れなくなったことも。
瞬ちゃんが知らない美香の気持ち、本人に聞いて、俺は全部知ってるけど……
瞬ちゃん、もしかしてずっと悩んでたの?
ずっとそれ、気にしてたの?